連載 シームレスに実践 ターミナルケア・グリーフケア 【3】
病院でのグリーフケアの実践 ~家族の予期悲嘆に寄り添う支援~
宇津木 智子
1
1がん研有明病院緩和ケアセンター/緩和ケア認定看護師
pp.640-644
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_640
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はじめに
悲嘆(グリーフ:grief)はさまざまな喪失に生じる情動反応である.人は一生を通してさまざまな喪失体験を繰り返すが,死別はもっともストレスの高い喪失体験と言われ,愛する大切な人との別れは残される家族にとってつらい体験となる1).緩和ケアには,「患者の病の間も死別後も,家族が対処していけるように支援する体制を提供する」(WHO)ことも含まれ,緩和ケアの対象は入院中の患者だけではなく,家族や遺族も含まれる2).本稿では,病院で入院する患者との死別を経験する家族に寄り添う支援について事例を通して考えたい.
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