Japanese
English
実践報告
症状に苦悩するがん患者と予期悲嘆を抱える家族へのプレゼンスと緩和ケア—相互作用による変化のプロセス
Outcome of Nursing Presence and Palliative Care for Cancer Patient Suffering from Symptoms and Family in Anticipatory Grief: Transforming Process of Interaction
榎本 恵子
1
Keiko Enomoto
1
1埼玉県立がんセンター
1Saitama Cancer Center
キーワード:
プレゼンス
,
苦悩
,
予期悲嘆
,
相互作用
,
アクションリサーチ
,
presence
,
suffering
,
anticipatory grief
,
interaction
,
action research
Keyword:
プレゼンス
,
苦悩
,
予期悲嘆
,
相互作用
,
アクションリサーチ
,
presence
,
suffering
,
anticipatory grief
,
interaction
,
action research
pp.111-118
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.緒 言
終末期がん患者は,回復の兆候がない不確かさの中で認識する病状悪化の自覚,刻々と迫りくる死の恐怖,それらに関連した身体,精神,社会的苦痛,スピリチュアルペインという全人的苦痛(トータルペイン)に直面してパワーレスネスに陥る.スピリチュアルペインとは,自己の存在と意味の消滅から生じる苦悩1)であり,「こんな状態では生きている意味がない,価値がない」と限られた命の時間を認識して自己の存在意義が見いだせなくなり苦悩する.また,患者との死別を予期して嘆き悲しむ家族は,予期悲嘆を抱えて共に苦悩する.しかし,自尊心とスピリチュアリティを高めるように意図した看護師との関係の中で,患者と家族は人生を意味づけ,レジリエンス(回復力,立ち直る力,生きる力)をエンパワーメントされて困難を乗り越えていくと考える.がんに苦しむ患者と家族の希望とその根底にある思いに関心を寄せて傾聴し,意味を見いだすプロセスを共に辿る看護師の存在は,患者と家族にとって重要な役割を果たすといえる.しかし,2022年4月時点で医中誌web版(最新5年)において,終末期がん看護の介入研究はほとんどなく,プレゼンス(共在)の看護介入研究は皆無であった.
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