連載 シームレスに実践 ターミナルケア・グリーフケア 【2】
病院でのターミナルケアの実践 ~その人に寄り添う全人的なケアについて考える~
瀬戸 弘美
1
1国家公務員共済組合連合会東京共済病院・看護部/緩和ケア認定看護師/がん看護専門看護師
pp.543-549
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_543
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
がん医療は,日々進歩を遂げ,治療は高度化・複雑化し,また患者の医療への関心の高さや個々の価値観の多様化も進んできている.
早期発見の診断技術の進歩や治療法の進歩が生存期間の延長をもたらし,がん患者の長期生存へとつながっている.一方,診断時のがんの病態によっては,最善の治療を継続していても再発や転移を起こし,治癒困難な状況となり最期を迎えることとなる.最期の瞬間まで尊厳を保ち,人生の終焉を迎えられるよう支援するためには,看護師一人ひとりが,診断時からCure(治療)と並行しながらCareをより重視した看護実践を行うことが鍵となる.がん患者のターミナルケアを考えるうえで,患者の苦痛を全人的視点でとらえることが重要なのはすでに周知のとおりである.
今回は,病院でのターミナルケアの実践について,事例をもとに尊厳をもった一人ひとりの患者と向き合い,その人の人生の締めくくりに寄り添う全人的なケアについて考えていきたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2021