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看護師は,どのような場で看護をしていても,患者の問題の有無をモニタリングし,患者の主観的症状と自分の捉えた客観的情報を併せてアセスメントし,アセスメントに合わせた患者支援を求められます.患者をモニタリング,アセスメントするということは患者の身体的な情報を正確に得ることが前提であり,欠くことができません.本誌では,がん看護の場面でのアセスメントについて取り上げました.
情報を得る際には主に3つの視点が考えられます.1つ目は,自覚する症状がなくても探索的に身体を確認する視点,2つ目は,看護師が患者と向き合った際に「何かおかしい」と感じて,その「おかしい」が何かを確認する視点,3つ目は,患者からなんらかの訴えがあり,それがどのようにおかしいかを確認する視点です.本特集では患者からの問診だけではなく,視診,触診,打診,聴診を用いて,客観的な情報を得て,それによって何が考えられるかをアセスメントする内容を目指しました.
そのために,第Ⅰ章で,改めて問診,視診,触診,打診,聴診といった技術,バイタルサインでわかることを確認し,第Ⅱ章では,頭から足先までを便宜上15部位に分け,がん看護をするうえでその部位において「見逃したくない問題」とそのために必要な身体を診る技術,そして,問題のアセスメントの根拠となる特徴や原因,病態生理の解説をする構成にしました.
そして,第Ⅲ章では,第Ⅱ章であげられた問題が出現している事例をあげ,第Ⅱ章での知識を実践でどのように活用するのかについて解説をしています.
本特集は,主に若手から中堅の看護師の皆さまを対象に患者情報を得る技術とそれをどのように活用するのかを解説し,日々のアセスメント向上を目指します.さらに,本誌の活用により,中堅看護師が指導者として後進を指導する際の一助にもなると考えます.
最後に,このような企画であることから,今回はケアの詳細はあえて記載していません.ですが,自らの日々の実践を変える根拠であったり,ケアについても調べられるように,ガイドラインや手引きといったケアに活用されている参考資料をご紹介いたしました.プロアクティブなアセスメントのために本書を活用していただくことを期待しております.
2021年6月
山花 令子
鈴木 美穂
© Nankodo Co., Ltd., 2021