特集2 5年目までにマスターしたい! がん看護技術
血管外漏出後の処置とケア
塩澤 綾
1
Aya SHIOZAWA
1
1神奈川県立がんセンター看護局,血液内科・腫瘍内科病棟/がん看護専門看護師
pp.316-319
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_316
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はじめに
血管外漏出(extravasation:EV)とは,投与中の薬剤が血管外へ浸潤あるいは漏出し,周囲の軟部組織へ拡散することをいう(図1).これにより,周囲の軟部組織を傷害し,刺入部の疼痛,腫脹などの一連の症状が引き起こされる1).薬剤の種類によっては,少量の漏出でも壊死や潰瘍などの難治性の皮膚障害を起こすことがある.EVは患者に苦痛や不安をもたらし,治療の継続を困難にし,QOLに著しい影響を及ぼす.EVの皮膚障害に対しては確立された治療法が乏しいため,予防がもっとも重要となる.もしEVが生じた場合は,早期発見・早期対処により薬剤の曝露量,曝露時間を最小限にとどめ,症状の重症化を防ぐために迅速な対応が求められる.そのため,看護師は薬物療法を受ける患者の点滴管理に必要な知識・技術を習得する必要がある.ここではがん薬物療法を受ける患者の血管外漏出時の処置手順について解説する.
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