特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
血管外漏出による皮膚障害
中内 香菜
1
1愛媛大学医学部附属病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.116-120
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_116
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事例
末梢血管からドキソルビシンを静注していたら,滴下が止まり,留置針刺入部の発赤と痛みがありました.逆血はありません.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
患者が刺入部の痛みを訴え,滴下が止まり,留置針刺入部の発赤と痛みがあり,刺入部に異常が認められる.静脈炎やフレア反応との鑑別が必要であるが,逆血がないことから,ドキソルビシンの血管外漏出が起こっていると考えられる.ドキソルビシンは起壊死性抗がん薬に分類され,少量の漏出でも重篤な壊死を起こす可能性がある.そのため,発生時の詳細な情報(漏出した薬剤の種類・濃度・量・部位の状態など)を把握する必要がある.症状としては発赤と疼痛であるが,今後悪化する可能性があり注意が必要である.
この事例にどう対応する?
原因薬剤であるドキソルビシンの静脈投与をただちに中止,留置針はそのままにして,針から漏出液または血液を可能な限り数mL吸引後抜針する.漏出したドキソルビシンの漏出量と範囲を確認し,マーキングする.その後,漏出した患肢を拳上し,漏出部位の冷却を実施する.支持療法としては,副腎皮質ステロイドの投与,漏出後6時間以内であれば,毒性も考慮し,デクスラゾキサン(サビーン®)の投与も医師を中心に多職種で検討する.
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