特別寄稿
がん薬物療法による末梢神経障害のある患者のケア ~QOL向上を目指した運動療法の有効性~
伊藤 奈央
1
Nao ITO
1
1岩手医科大学附属病院高度看護研修センター/がん看護専門看護師
pp.77-80
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_77
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はじめに
化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)は,レジメンによって発生頻度は異なり,神経毒性のあるがん薬物療法を受ける患者の多くにみられる副作用である.CIPNは一過性のこともあるが,数ヵ月,数年続くこともあり,患者のQOLに影響する.がん薬物療法の進歩に伴い,支持療法薬が開発されるようになったが,CIPNに関しては推奨される予防薬はない.また,日本がんサポーティブケア学会による『がん薬物療法に伴う末梢神経障害のマネジメントの手引き』1)においても,症状緩和に中等度のエビデンスが示されているのはデュロキセチンのみである.
近年,国外ではCIPNに対する運動療法の効果について検証されており,2016年ASCOの学会でも運動療法に関して報告された.
本稿では,患者のCIPNの症状体験とアセスメント,運動療法や転倒リスクなどについて述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020