器械の使いかた
IPPB
田村 昌士
1
1虎の門病院呼吸器科
pp.624-625
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202218
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患者がなんらかの原因で呼吸停止し,器械的に人工呼吸を行なうときは,陽圧呼吸か陰圧呼吸のいずれかの方法によらなければならない。すなわち前者はIPPB装置で,後者はいわゆる"鉄の肺"で行なわれる。IPPB(intermittent positive pressure breathing)とは,字句のとおり間歇的かつ周期的に陽圧を加えて肺にガス(空気,酸素,各種薬物エロゾールなど)を送り込むことであるが,その装置は患者が無呼吸の場合は調節呼吸を行ない,自発呼吸のある場合は補助呼吸を行なうようにつくられている。したがつてIPPB装置は人工呼吸器としての役目ばかりでなく,吸入療法の有力な装置としてひろく日常診療に用いられるようになつた。
IPPBの適応としては,1)呼吸停止あるいは抑制(薬物中毒・脳腫瘍・脳血管障害・脳外傷・呼吸筋麻痺など),2)呼吸不全(慢性気管支炎・気管支喘息・慢性肺気腫・無気肺・肺線維症・肺感染症・肺水腫など),3)外科手術後の呼吸管理などがあげられる。しかしこれらの適応があつても,IPPB装置を正しく理解し使用しなければ,かえつて逆の結果をもたらし,病状が悪化するおそれもあるので,注意が必要である。
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