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その根拠を探る!
ここでは2つの介入研究を紹介する.1つ目はCoolbrandtら1)によってベルギーで行われた準実験研究(介入プログラムの運用前後を比較した研究)である.外来または投薬のための短期入院で初めて点滴化学療法を受ける成人がん患者を対象として,対照群(71名)には通常ケアが,介入群(72名)には通常ケアに加えて「CHEMO-SUPPORT(ケモ・サポート)」と呼ばれる表1に示す介入が行われた.CHEMO-SUPPORTは,症状マネジメントに対する患者の自己効力感とアウトカムへの期待感に働きかけ,症状の苦痛やそれに影響を与えるセルフマネジメントを改善するよう設計された個別の看護介入である.化学療法に関連した13の症状について調査した結果,介入群は対照群と比べて全般的な症状の苦痛の悪化の度合い(治療開始後の変化)が有意に小さかったことが報告された.治療開始後12週目のセルフケアに有意な差はなかったが,治療開始後6週目に測定された自己効力感とアウトカムへの期待感は介入群のほうが有意に高い結果であった.
2つ目に紹介するのはKlafkeら2)がドイツで行った補完統合医療を活用した看護介入の無作為化比較試験である.対象はレジメンの初回投与が計画されている乳がん・婦人科がん患者であり,介入群120名と通常ケアを受けた対照群114名が比較された.介入群には通常ケアに加えて外来で個別の症状や選好に応じたマッサージ,アロマテラピーなどが行われた.また,トレーニングされた看護師によるカウンセリングが定期的に行われ,自宅でも継続できるようセルフマネジメントに役立つ教育資材が提供された.研究者らの予想とは異なり,化学療法終了時の全般的QOLに群間の有意差はなかったが,開始時からの変化を考慮した終了後6ヵ月の全般的QOLは介入群のほうが有意な改善を示した.介入群の全般的QOLは化学療法終了から6ヵ月間で臨床的に意味がある中程度の変化を生じていた.
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