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特集 再灌流療法をめぐる諸問題
血栓溶解療法はどのような状況で有効か
Management of Thrombolytic Therapy
渡邉 和宏
1
,
長尾 建
1
Kazuhiro Watanabe
1
,
Ken Nagao
1
1駿河台日本大学病院循環器科
1Department of Cardiology, Nihon University Surugadai Hospital
pp.649-658
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101734
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はじめに
急性心筋梗塞の基本的な機序は,冠動脈内膜に貯留した粥腫が破綻し,冠動脈内に急速に血栓形成を惹起させ,それが冠動脈内腔を閉塞または狭窄するために引き起こされるものとされている.したがって,基本的な治療戦略は速やかに閉塞している冠動脈を再灌流させることにある.
2010年に提示されたAHAの「心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン」では,急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)における再灌流療法の主要治療目標は,心筋壊死の軽減,主要心事故(死亡,非致死的梗塞,および緊急血行再建の施行)の防止,心室細動の迅速な処置であり,その主要な決定因子は,①再灌流までの時間が短いこと,②責任冠動脈の持続した正常な血流(TIMI 3 flow)の回復,③正常な微小血管の灌流とされている1).
ACSの早期積極的治療における血行再建療法は,血栓溶解療法と経皮的冠血行再建術(percutaneous coronary intervention;PCI)が大きな柱となる.より早く,より高率にTIMI 3 flowを得るために,血栓溶解療法であればDoor-to-needle時間を30分以内,PCIであればDoor-to-balloon時間を90±30分以内に施行するように勧告している.
われわれは以上のことを踏まえ患者に合わせて治療法を選択していかなければならない.本稿では血栓溶解療法について,その使用法や使用時期を中心に概説していく.
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