特集2 研究結果を生かした診断・治療期の緩和ケア ~実践へのチャレンジ~
【2.ライフステージに応じた緩和ケア】
高齢者に応じた緩和ケア ~認知機能と身体機能の低下に配慮する~
髙尾 鮎美
1
Ayumi TAKAO
1
1JCHO大阪病院看護部
pp.50-52
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_50
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その根拠を探る!
高齢がん患者の包括的支援のためにGeriatric Oncology(老年腫瘍学)やGeriatric Palliative Care(老年緩和ケア)という領域が確立されつつあり,老年期ケアと緩和ケアの専門家が,より協働していく流れへと変化している1).高齢者への緩和ケアの目標は,心身の機能を維持し,快適さを最大限にすることである.高齢者の特徴として,いわゆる「フレイル」(虚弱)という,生理的予備能の低下がある.日本老年医学会は「フレイル」を,ストレスに対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態,死亡などの転帰に陥りやすい状態と位置付けている2).身体的機能低下のほかに,退職,子育ての完了,配偶者との死別などに伴い,社会とのつながりが減り心理社会的機能も低下する傾向にある1,3).「フレイル」は置かれた状況に影響を受けやすい可逆的な状態である.
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