特集 生活の視点で読み解く! 今日の緩和ケア ~患者になにが起こっているのか~
Ⅶ 眠る・休む
不眠のケア
水野 俊美
1
1がん研究会有明病院看護部/がん看護専門看護師
pp.509-511
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_509
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看護師のアセスメント
「よく眠れた」という実感は,睡眠の時間や深さだけでなく,その人の主観も関連しているといえる.4~5時間の睡眠で眠れたと感じる人もいれば,8時間は眠れないと不十分だと感じる人もいる.また,眠りが浅かったり,わるい夢を見たり,何度も中途覚醒したりすると,同じ睡眠時間でも「よく眠れなかった」と感じやすい.
がん患者は,治療や疾病による苦痛症状,さまざまな気がかりなど,睡眠に影響を及ぼす要因が多くある.そこで,不眠をアセスメントする場合,入眠困難なのか,中途覚醒して眠れないのか,早朝に覚醒してしまうのかを情報収集する.また,患者が睡眠に満足しているのか,睡眠時間は十分か,わるい夢を見ていないか,熟眠感はあるか,目覚めはどうかなど,患者の主観も大切な情報である.客観的には,就寝時の表情,寝言の有無,呼吸が規則的かどうか,寝返りの頻度などを観察する.
眠れないと疲れが取りきれず,普段よりも活動量が低下しがちである.また,集中力や記憶力,判断力も低下しやすく,仕事の作業能率を下げたり,ミスが増えたり,物事を考えるのにも時間がかかってしまう.不眠は,心身ともにわるい影響を及ぼすといえる.
がん患者の不眠の原因はさまざまであり,複数の原因が影響している場合もある(表1).まずは,不眠の原因は何かを考えることから,不眠のケアは始まる.
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