連載 内科医が知っておきたいメンタルヘルスプロブレムへの対応・2
不眠
中尾 睦宏
1
1帝京大学医学部衛生学公衆衛生学・心療内科
pp.380-384
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102028
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今回のテーマは不眠である.前回はうつ病についてまとめたが,内科医にとって不眠症はうつ病以上に頻繁に診療している病態である.例えば東大心療内科外来でCornell Medical Indexという質問紙を用いて身体症状の調査をしたところ1),初診患者で不眠を訴える者の割合は各年代で多少ばらつきがあるもの60%前後であった(表1).患者だけでなく,一般国民にとっても不眠への対応は大切である.「健康日本21報告書」によると2),睡眠によって休養が十分に取れていない国民は23%で,眠るために睡眠補助品やアルコールを使っている国民は14%と推計されている.
このように不眠は身近な問題であるが,何らかの不眠症状を有している患者のうち実際に医師に相談して睡眠薬を服薬する例は20~25%程度といわれている3).患者によっては,不眠に対する病識が乏しかったり,睡眠薬に対する誤解のため,服薬に抵抗感をもっているかもしれない.したがって日常診療においては,不眠が主訴でない場合でも,睡眠状況を確認して不眠症を見逃さないようにしたい.また不眠が認められたとしても,前回述べたようにその原因にうつ病などメンタルヘルスの問題が潜んでいないか評価する必要がある.
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