連載 患者の治療と「食べる・話す」を支える がん患者の口腔ケア【3】
症状のある口腔のアセスメントのコツ 「口が痛くて食べづらい」 なぜ痛い?
上野 尚雄
1
1国立がん研究センター中央病院 歯科
pp.336-340
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_336
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はじめに
「口の中が痛くて,食事が食べられない.おなかは空いてるし,食べたい気持ちもあるのに……」
がん治療中は,さまざまな理由で食事が障害される,美味しく食べられなくなる時期があります.がん治療中の有害事象はなかなかゼロにはできない,しかたない側面もあるかもしれません.とは言え,食べる意欲があり,全身的にも食事は問題ないのに「お口のせいで」食べられないとなると,この口の痛みさえなければ……,何とかならないか,と思ってしまいます.
NSAIDsやオピオイドで口の痛みを制御することも重要ですが,食事や会話の動作時の疼痛は薬物だけではなかなか制御できません.痛みの原因の治療が不可欠です.しかし,口腔内の痛みの原因は多々あり,その対応も原因によってまったく異なることがあります.そこで今回は「なぜ口が痛いのか」,その原因を鑑別するための口腔のアセスメントのポイント,コツについてお話しいたします.
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