連載 患者の治療と「食べる・話す」を支える がん患者の口腔ケア【2】
アセスメントが口腔ケアの第一歩! 一度しっかりと口腔内を診てみませんか? ~ベースラインの口腔チェックとは~
上野 尚雄
1
1国立がん研究センター中央病院 歯科
pp.249-252
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_249
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はじめに
がん患者さんのお口に問題が起きたとき,あるいは起きそうなときの口腔ケアについて,看護師さんからよく「何をしてよいかわからない」といった漠然とした意見を伺うことがあります.なぜ「何をしてよいかわからない」のでしょうか.口腔ケアで何をすべきか対応を決めるためには,口腔内の状況を把握し,問題となっている点が明らかになっている必要があります.問題点が判明していないのに対応を決めることはできません.「何をしてよいかわからない」のは,口腔内が今どのような状態で,何が問題になっているのか,アセスメントができていないからです.適切な口腔内のアセスメントにより問題点がわかれば,おのずと対応も明確になってきます.「適切な口腔内のアセスメントは,がん患者の口腔粘膜炎におけるもっとも重要な看護介入である」と言われています.
今回は口腔のアセスメントのポイント,とくに看護師にベースラインとして診察してもらいたい口腔内所見,苦痛少なく口腔内を診察するコツについてお話しします.
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