特集 がん患者の創傷・皮膚障害 ~ケアの基本と実践~
【がん薬物療法関連創傷・皮膚障害】
手足症候群 ~加圧コントロールがケアの決め手~
糸川 紅子
Beniko ITOKAWA
pp.724-727
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_724
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はじめに
2000年代初頭は化学療法の黎明期であった.新薬が相次いで承認され,さまざまながんの治療成績が向上した1).同時に化学療法の中心が外来へと移行し,支持療法の確立や診療報酬の改訂が行われた.化学療法と社会生活が併行できることに大きな期待があった.しかし,このムーブメントの中でひときわ注目を集めたのが皮膚障害であり,とりわけ手足症候群は生活する上での苦痛をもたらす副作用として対策が急がれた.
手足症候群は代表的なものとして,フッ化ピリミジン製剤に伴う慢性炎症とマルチキナーゼ阻害薬に伴う急性炎症に大別される.本稿ではスキンケアや加圧の除去が症状緩和・悪化防止に奏功しやすい慢性炎症に焦点を当て,とくに重症化しやすい足底病変の管理について概説する.
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