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事例
カペシタビン+ビンクリスチン療法を開始して5週間目に足の裏に違和感と痛みがあり,見たところ皮膚表面が固くなって一部がひび割れています.さらに水疱もできています.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
治療開始5週間目は,手足症候群の発現時期にあり,出現している症状(足裏の違和感と痛み,皮膚表面のひび割れ,水疱)から,カペシタビンの有害事象の1つである,手足症候群と考えられる.疼痛を伴い,日常生活への影響も出現していると考え,有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)での評価は,Grade 3となる(表1).
この事例にどう対応する?
全身を観察し,症状による日常生活への影響がどの程度あるか確認する.その際には,支持療法薬の使用状況(回数,使用方法)と日常生活行動(生活背景も含む)の確認を行う.手足症候群と鑑別が必要なのは,①手湿疹,②白癬,③乾癬である.
この事例では,水疱の形成,足裏の違和感,疼痛,皮膚表面のひび割れという症状から,手足症候群が出現しており,スキンケア不足が考えられる.まずは,受診行動を支持する.日常生活の質を落とさずに,続けることが治療継続のポイントであること,症状が改善すれば,治療再開できる旨を伝え,抗がん薬の休薬をするほうがよいことを提案する.
支持療法としては水疱形成しているため,休薬しスキンケアを徹底,ステロイド外用剤の使用を検討する.使用の際は,軟膏塗布量は1フィンガーチップユニット(1FTU:人差し指の先端から第1関節まで出した量が両手掌に塗布する量)で,掌で優しく押さえるように塗布することを確認する(図1).また,塗布回数の増加や,塗布のタイミングも検討する必要がある.さらに,靴下の使用,クッション性のある靴を選択するなど刺激の除去を提案する.
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