特集 災害時のがん看護を考える ~被災地における経験からの提言~
災害時に医療機関でがん看護に携わるスタッフへのケア
松本 和美
1
Kazumi MATSUMOTO
1
1熊本赤十字病院看護部/がん性疼痛看護認定看護師
pp.273-275
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_273
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被災したがん患者は,疾患と治療の不安やストレスに加え,災害によるストレスが重なることになる.しかし,災害直後から数週間の医療機関は,院内の地震被害の対応と,被災患者の受け入れ対応を優先し,通常のがん治療の提供が困難な状況におちいる.看護スタッフは通常以上に,がん患者の心理的支援に心を砕くが,看護スタッフも被災者としてのストレスを抱えている.災害ストレス反応の正常なプロセスは,おおむね4時期を経るとされ,急性期,反応期,修復期,復興期である.このプロセスの期間は,発災~復興までの状況変化を表す災害サイクルと異なるものであり,災害の種類や被災地の環境の影響を受ける1).
本稿では,熊本地震にて生じた看護スタッフのストレス反応,外来看護管理者としてスタッフに行ったケア(病院組織として提供されたケアを含む)について,災害ストレス反応のプロセスにおける急性期から修復期までの経験を振り返る.
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