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はじめに
2018年は多くの自然災害が日本を襲いました.6月の大阪府北部地震,7月に西日本を襲った豪雨,9月の台風第21号,北海道胆振東部地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます.被災地域の一日も早い復旧を願うとともに,皆さまが一日も早く平常の生活に戻られることをお祈り申し上げます.
近年の災害発生の傾向として,気候変動によってもたらされる豪雨によるものが目立ってきています.水害による被害は広範囲に及び,インフラの壊滅などによって社会経済の機能が麻痺するため,被害が長期化しやすくなります.その対応の難しさは容易に想像できるのではないでしょうか.世界の中でも日本は「災害大国」といわれ,これまでも大きな災害に見舞われてきましたが,特に1995年1月に発生した阪神・淡路大震災は多くの教訓を私たちに残してくれました.災害支援の重要性に対する国民の認識を高めるとともに,看護においては災害看護分野を確立するきっかけとなったのです.看護師教育の指定規則が改正され,2009年から看護基礎教育に導入されました.
私と災害看護の出会いについて,ご紹介します.私は助産師で,母性看護学を専門にしている者ですが,阪神・淡路大震災を体験した兵庫県立大学に在職中,21世紀COEプログラム「ユビキタス社会における災害看護拠点の形成」のメンバーとして,多くの研究や災害への備えに向けた教育活動に関わらせていただきました.また,現職になってからは,東京都看護協会の災害対策委員として,東京都災害支援ナースの養成に携わってきました.2017年からは東京都大田区(以下,本区)の災害医療体制の構築に向けた活動にも加っています.本稿では,上記の活動を通して追求してきた,災害時に求められる看護職の役割と課題について述べます.
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