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特集 食道胃接合部癌 私はこう治療する!
I. 総論
4.食道胃接合部癌の術式選択と手術の実際―胃外科の立場から
Operative selection and surgical practice in esophagogastric junction cancer:a gastric surgeon’s perspective
黒川 幸典
1
,
西塔 拓郎
1
,
萩 隆臣
1
,
江口 英利
1
,
土岐 祐一郎
1
Y. Kurokawa
1
,
T. Saito
1
,
T. Hagi
1
,
H. Eguchi
1
,
Y. Doki
1
1大阪大学消化器外科
キーワード:
経裂孔アプローチ
,
下縦隔リンパ節郭清
,
食道浸潤長
Keyword:
経裂孔アプローチ
,
下縦隔リンパ節郭清
,
食道浸潤長
pp.22-28
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka87_22
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従来,食道胃接合部癌に対する胃切除術式としては胃全摘が標準と考えられていたが,近年の多施設共同後向き研究ならびに前向き試験の結果から,SiewertⅡ型もしくは西分類を満たす食道胃接合部癌に対しては組織型にかかわらず胃の遠位側リンパ節郭清目的での胃全摘は不要であり,噴門側胃切除で十分である.一方,食道切除の術式選択においては食道浸潤長がもっとも重要であり,食道浸潤長が4 cmを超える場合は上縦隔および中縦隔のリンパ節郭清が必要と考えられるために食道亜全摘が選択されるが,食道浸潤長が4 cm以下の場合は上・中縦隔郭清のための食道亜全摘は不要である.しかし,下部食道切除を選択した場合の下縦隔内吻合は縫合不全のリスクが高く,さらに術後の逆流性食道炎予防のためになんらかの逆流防止の工夫が必要となるため,これらのデメリットと食道を温存することのメリットの両者を十分に考慮したうえで,食道切除の術式を選択しなければならない.
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