4．胆管癌および転移性肝腫瘍に対する肝移植―transplant oncologyがもたらしたパラダイムシフト

Liver transplantation for cholangiocarcinoma and metastatic liver tumors：a paradigm shift driven by transplant oncology

Transplant oncologyは移植医学と腫瘍学の融合によって癌の治療と研究を再定義し，飛躍的に発展させる概念・試みとして2014年にはじめて日本から提唱された．Transplant oncologyは「癌患者の予後および生活の質・Quality of Lifeの改善を目的としたあらゆる移植医学および移植外科手術の応用」と定義され，癌の集学的治療の進化（evolution），癌手術の切除限界の拡大（extension），腫瘍免疫と移植免疫の架け橋による自己・非自己認識システムの解明（elucidation），癌ゲノミクス解析による発癌・浸潤・転移機構の探究（exploration）の4つの大きな柱からなる．Transplant oncologyに基づき，切除不能な胆管癌および転移性肝腫瘍に苦しむ患者の治療アルゴリズムに，厳格な選択基準のもと肝移植が加えられたことでパラダイムシフトが生じた．