Japanese
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特集 病態に応じた栄養療法の重要性
II. 各論
4.胃切除後患者の栄養状態と合併症,予後と栄養療法の実際
Overview of nutritional status, complications, nutritional disorders, and prognosis in patients after gastrectomy
林 勉
1
,
吉川 貴己
1
T. Hayashi
1
,
T. Yoshikawa
1
1国立がん研究センター中央病院胃外科
キーワード:
胃切除
,
合併症
,
栄養障害
Keyword:
胃切除
,
合併症
,
栄養障害
pp.1343-1350
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka84_1343
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胃切除は消化器癌の中でも比較的高侵襲な術式で,術後合併症の発生頻度も消化器癌に対する切除術式の中で高率である.高度な手術侵襲や術後合併症は蛋白異化を促進しサルコペニアを引き起こす.また,胃切除による胃切除後障害により経口摂取量が減少し術後栄養状態が悪化する.サルコペニアと栄養状態の悪化は長期予後不良因子として報告されており,治療手段としてさまざまな栄養療法が検討されている.また,低侵襲手術(minimally invasive surgery)や胃機能温存術式も胃切除後の栄養状態の悪化やサルコペニアを抑制する期待がもたれる.近年,胃癌周術期に栄養療法と運動療法を付加し,サルコペニアを改善させる取り組みも報告され,高齢胃癌患者のさらなる増加が見込まれる現状で今後有望な治療手段と考えられる.適切な栄養療法は,胃癌治療成績の改善に有望な治療手段であるが,アドヒアランスの改善など残された課題も多く今後の治療開発が望まれる.
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