Japanese
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特集 保存版!臓器脱の診断と治療
II. 各論
3.全周性の脱出性痔核に対するPPHの手技
Stapled hemorrhoidopexy for circular prolapsed internal hemorrhoids
梅枝 覚
1
,
中山 茂樹
1
,
木村 充志
1
,
山本 隆行
1
,
下山 貴寛
1
,
肥満 智紀
1
S. Umegae
1
,
S. Nakayama
1
,
A. Kimura
1
,
T. Yamamoto
1
,
T. Shimoyama
1
,
T. Himan
1
1四日市羽津医療センター外科大腸肛門病・IBDセンター
キーワード:
環状自動縫合器
,
PPH(procedure for prolapse and hemorrhoids)
,
stapled hemorrhoidppexy
,
全周性脱出性痔核
Keyword:
環状自動縫合器
,
PPH(procedure for prolapse and hemorrhoids)
,
stapled hemorrhoidppexy
,
全周性脱出性痔核
pp.1017-1026
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka82_1017
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環状自動縫合器(サーキュラーステープラー)による痔核脱肛の手術は,1998年Longo1)によって発表された手術(粘膜環状切除術)[procedure for prolapse and hemorrhoids:PPH]であり,痔核口側の直腸粘膜を環状切除し,痔核脱肛を吊り上げ固定する術法で,歯状線より皮膚側には手術操作が及ばず,その特徴から術後疼痛がきわめて少ない利点がある.疼痛が少なく,生活の質(QOL)にすぐれているため世界で広く行われるようになった.本邦でも2001年より各施設で施行され,画期的な手術として注目を浴びた.術後疼痛の軽減,早期社会復帰など,3度内痔核には有用な手術術式と考えられる.2010年4月より保険点数の改訂により,保険適用の問題とcost benefitの問題が解決され,多くのPPH手術が施行されるようになった.痔核脱出は痔核クッション組織の肛門外への滑脱という考えから,痔核組織そのものを切除するのではなく,すぐ口側の直腸粘膜を環状に切除して上直腸動脈分枝の血液遮断と滑脱する痔核組織の吊り上げ固定を意図して行うものであり,そういった意味から全周性の脱出性痔核がもっともよい適応となると思われる.歯状線が全周性に滑脱している内痔核,ホワイトヘッド手術後の直腸粘膜脱,不完全直腸脱などにも適応と思われる.PPHの特性と実技を十分習得し,適応を厳格にするうえにおいては現在でもきわめて有用な手術といえる.
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