特集 外科手術器具の理論と使用法
Ⅱ.ドレーン
肝胆膵手術に用いるドレーンと使用法
田中 邦哉
1
,
菊地 祐太郎
1
,
村上 崇
1
,
川口 大輔
1
,
廣島 幸彦
1
,
松尾 憲一
1
1帝京大学ちば総合医療センター肝胆膵外科
キーワード:
肝胆膵手術
,
ドレーン
Keyword:
肝胆膵手術
,
ドレーン
pp.1135-1141
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka79_1135
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ドレーン留置の目的は,周知のとおり治療目的,予防目的あるいは情報収集である.特に術中ドレーン留置の主な目的は,予防目的あるいは情報収集すなわち術後の合併症予防あるいは腹腔内情報収集であり,肝胆膵手術後では,排液や体液貯留を予防し,出血,縫合不全,胆汁漏,膵液瘻の早期発見を目的としたものである.ひとたび合併症が生じた場合には,これらドレーンはしばしば治療用として転用される.
ドレーン挿入の功罪は,挿入により腹腔内情報が容易に得られることで早期診断が可能となり,ドレーンを治療に用いることで再手術などの回避が可能になるといった利点がある一方で,逆行性感染や挿入部位の出血・ヘルニアのリスク,体液喪失による水分管理の複雑化,ドレーンケアによるコスト増加・入院日数延長といった医療コスト全般の増加が懸念される点である.
本稿では,予防あるいは情報収集を目的とした術中ドレーン留置の意義およびドレーン管理法について肝手術(胆道非再建),膵手術,胆道手術のそれぞれについて検討することを目的とした.
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