自然に解除したと考えられた乳び腹水を伴う原発性小腸軸捻転の1例

はじめに　腸回転異常や癒着などに起因しない原発性小腸軸捻転症は，比較的まれな疾患である^{1, 2）}．小腸軸捻転の病態は軸捻転による通過障害と腸管循環障害であり，ほとんどの症例で診断がつき次第手術が施行されるが，捻転が自然に解除したと考えられる症例の報告がある^{3, 4）}．

乳び腹水は腹部悪性腫瘍や肝硬変^5），腹部結核^6），小児腸軸捻転^7）でみられることが多いが，成人の腸軸捻転でみることはまれである．

われわれは捻転が自然に解除したと考えられる，乳び腹水を伴った原発性小腸軸捻転症例を経験したので報告する．