Japanese
English
小児整形外科up-to-date Ⅷ.炎症性疾患
1.若年性特発性関節炎
若年性特発性関節炎の診断・治療
-――整形外科医の立場から
Diagnosis and treatment for juvenile idiopathic arthritis:from the perspective of orthopedic surgeons
細見 僚
1
,
中川 敬介
2
,
北野 利夫
2
,
中村 博亮
1
R. Hosomi
1
,
K. Nakagawa
2
,
T. Kitano
2
,
H. Nakamura
1
1大阪公立大学整形外科
2大阪市立総合医療センター小児整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka Metropolitan University, Osaka
キーワード:
JIA
,
diagnosis
,
treatment
,
orthopedic surgeon
Keyword:
JIA
,
diagnosis
,
treatment
,
orthopedic surgeon
pp.222-227
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei85_222
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は じ め に
若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis:JIA)は16歳未満に発症し,少なくとも6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎である1).不可逆的な関節破壊により将来にわたって日常生活が障害されることがあるため,早期に適切な診断と治療を行う必要がある.しかし,その有病率は本邦では小児人口10万人対10~15人とされ2),関節リウマチ(RA)の有病率(0.5~1.0%)と比較しても稀少疾患であることから,実際に持続する原因不明の四肢の痛みや腫脹を訴える子どもが一般の整形外科を受診した場合,本疾患を想定することは困難である可能性がある.
また,治療の中心は薬物治療であり,これは小児科に依頼することになるが,診断について,あるいは治療中の罹患部の安静度について,小児科医から整形外科医に意見を求められる場面も想定される.これらのことから,一般の整形外科医にとっても本疾患に関する基本的な知識は必要と考えられる.
JIAはその病態や臨床症状から,全身型と関節型に大別される.関節型は国際リウマチ学会の分類ではさらに少関節炎(4関節以内),リウマトイド因子(RF)陰性多関節炎,RF陽性多関節炎,乾癬性関節炎,付着部炎関連関節炎,未分類関節炎に分類される1).本稿ではこのうち,比較的整形外科医が診断に携わる可能性のある関節型JIA(主に頻度の高い少関節炎,RF陰性多関節炎,RF陽性多関節炎)に関して述べる.
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