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は じ め に
脳性麻痺は,生後4週間以内の新生児期までに生じた脳の非進行性病変に基づく永続的な,しかし変化しうる運動および姿勢の異常である(1968年厚生省脳性麻痺研究班定義).脳性麻痺の原因や病巣はさまざまであり,症状も脳の病巣部位により多様である.運動障害に関しても一様ではなく,運動麻痺の病型による分類では,① 痙直型,② アテトーゼ型,③ 失調型,④ 低緊張型,⑤ 混合型の5病型があり,筋緊張が亢進している痙直型が70%と多くを占め1),筋緊張の異常に伴いはさみ脚歩行やかがみ歩行に代表されるような異常歩行を認める.近年の本邦での発生率に関する報告としては2009~2013年に鳥取県,徳島県,栃木県の3県で行われた疫学調査があり,発生率は出生1,000対1.7人であった1).
脳性麻痺の運動障害の重症度も,わずかな巧緻性低下を伴うような軽症から姿勢保持困難な重症のものまで含まれ,重症度の分類として移動能力を中心とした評価法の粗大運動能力分類システム(gross motor function classification system:GMFCS)が用いられることが多い.レベルⅠ~Ⅴの5段階の分類であり,最重症がレベルⅤである(表1).脳性麻痺児に対して外来や入院でのリハビリテーションと併せて,筋緊張異常に対してボツリヌス療法や装具療法,下肢変形に対して整形外科手術が行われることがある.
GMFCSレベルⅠ~Ⅱの症例の日常生活での移動は歩行であり,歩行能力の改善がリハビリテーションの目標となることが多い.一方,GMFCSレベルⅢ~Ⅳの症例は日常生活で歩行機会が少なく,立ち上がり動作,立位姿勢の安定が介助量の軽減,日常生活動作(ADL)改善につながり,リハビリテーションの目標となる.
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