Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅳ.各種人工関節置換術の各種アプローチ
2.人工股関節置換術
Curved short stemとdual mobility cupを組み合わせて施行した人工股関節全置換術の短期成績
-――それ以外の摺動面との比較
Short-term results of total hip arthroplasty using combination of curved short stem and dual mobility cup
宗像 裕太郎
1
,
班目 ひろみ
1
,
倉光 祐二郎
1
,
岡崎 賢
1
Y. Munakata
1
,
H. Madarame
1
,
Y. Kuramitsu
1
,
K. Okazaki
1
1東京女子医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Women’s Medical University, Tokyo
キーワード:
THA
,
short stem
,
dual mobility cup
Keyword:
THA
,
short stem
,
dual mobility cup
pp.80-84
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_80
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は じ め に
近年,人工股関節全置換術(THA)は,各種アプローチの工夫ならびに,軟部組織温存・修復の進歩も相まって,大きな股関節可動域(ROM)を獲得しつつ,脱臼指導を厳密に行わなくとも容易に脱臼しない安定性を得ることができるようになってきた1,2).しかし,脊椎の加齢変性による脊椎のアライメント不良や,脊椎固定術による可撓性の減少は,THAの早期および晩期の脱臼の引き金となる場合も少なくない3,4).また,以前にはTHAの適応外としていた,脱臼指導に対するコンプライアンスのわるい患者に対しても適応は広がっていると考えられるが,やはり脱臼がハイリスクであることにかわりはない5).
そのような症例に対しても,ROM制限のない,かつ脱臼しないTHAを実現するためにはさまざまな工夫が必要になる.インプラント設置に関しては,インピンジメントを回避するためのcombined anteversion theory6)は以前からよく知られており,広く実践されてもいるが,それでもなお脱臼は制御しきれていない.近年は立位,坐位での骨盤傾斜を念頭においてのfunctional combined anteversion technique7)も提唱されているが,軟部組織の要素を考慮していないことはかわらない.脱臼に関しても,摺動面の摩耗の点からも,インプラントの設置角が重要であることはいうまでもないが,脱臼ハイリスク例に対しては,適切なインプラント設置に加え,軟部組織温存・修復や,さらなる工夫も組み合わせて立ち向かわなければならない.
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