Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅸ.術後後療法,リハビリテーションなど
3.サルコペニア
人工股関節置換術後の身体機能と骨格筋量の変化
-――人工股関節置換術患者におけるサルコペニア有病率に着目して
Changes in physical function and skeletal muscle mass index after total hip arthroplasty:prevalence of sarcopenia in patient for total hip arthroplasty
新谷 健
1
,
植田 成実
2
,
菅 俊光
3
,
飯田 寛和
4
T. Shintani
1
,
N. Ueda
2
,
T. Suga
3
,
H. Iida
4
1関西医科大学附属病院リハビリテーション科
2関西医科大学総合医療センター整形外科/ゲノム解析センター
3関西医科大学総合医療センターリハビリテーション科
4関西医科大学リハビリテーション学部
1Dept. of Rehabilitation, Kansai Medical University Hospital, Hirakata
2Dept. of Orthop. Surg and Genome Analysis Center., Kansai Medical University Medical Center, Moriguchi
キーワード:
THA
,
sarcopenia
,
OA
,
hip
,
skeletal muscle mass index
,
physical function
Keyword:
THA
,
sarcopenia
,
OA
,
hip
,
skeletal muscle mass index
,
physical function
pp.242-246
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_242
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
サルコペニア1)は,筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられ,身体機能障害,生活の質(QOL)低下,死のリスクを伴う2).さらに,サルコペニアは65歳以上の高齢者において,加齢以外に明らかな原因のない本態性サルコペニアと不活動やなんらかの疾患,栄養状態によって筋量低下をきたす二次性サルコペニアに分類され,変形性股関節症は「二次性サルコペニア」をきたしうる.
わが国の股関節を愁訴とする初診患者を対象にした多施設研究によると,寛骨臼形成不全が81%を占めており,欧米諸国に比べ変形性股関節症として若年に発症することが特徴である3).若年より股関節痛を生じ,習慣的運動を行うことができなくなった場合に,サルコペニアの誘因となりうる.また,現在,変形性股関節症に対する人工股関節置換術(THA)は,患者満足度の高い治療として普及し,高齢者におけるTHAの需要も増加している.
しかし,THA術後1年の活動性(仕事,家事,レジャー,スポーツ)には,年齢差を認めると報告されており4),高齢者の社会的活動の増進に筋力評価やサルコペニアに関する分析が必要と考えられたが,渉猟しえた限りTHA後のサルコペニアに関連する報告はなかった.
本稿では,超高齢社会におけるTHA患者の活動性の向上を含む治療成績の向上を目的として,THA患者のサルコペニア有病率を調査し,THA後の全身骨格筋量と歩行能力,筋力の経時的変化に着目し,術後もサルコペニアのある症例の分析を行ったので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023