Japanese
English
上肢疾患の診断と治療の進歩(新鮮外傷を除く) Ⅰ.総 論
2.保存的治療:リハビリテーション
肩甲上腕関節外転角度増加をめざした肩関節外転装具の開発
New glenohumeral abduction brace
油形 公則
1
,
藤井 賢三
1
,
瀬戸 哲也
1
,
上原 和也
1
,
坂井 孝司
1
K. Yukata
1
,
K. Fujii
1
,
T. Seto
1
,
K. Uehara
1
,
T. Sakai
1
1山口大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yamaguchi University Graduate School of Medicine, Ube
キーワード:
abduction
,
brace
,
glenohumeral
,
orthosis
,
rotator cuff
Keyword:
abduction
,
brace
,
glenohumeral
,
orthosis
,
rotator cuff
pp.31-34
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei82_31
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は じ め に
肩腱板断裂は肩疾患のなかで頻度が高く,しばしば修復術が必要となる.近年,手術方法,内固定材の進歩や手術適応の改善により治療成績は向上しているが,修復腱板再断裂が生じやすいことは課題の一つである1~3).
腱板再断裂の暫定的予防法の一つである装具固定の有効性についてもいまだに明らかとなっていない.しかし,筆者を含め多くの整形外科医が術後に肩装具を用いた外固定をしていると推察される.実際,北米関節鏡学会(AANA)のアンケート調査では約7割の医師が肩外転装具を用いた術後外固定を行っていると報告されている4).われわれは,棘上筋腱を主とした上方腱板を修復した際に,市販装具[45°の傾きをもつ枕つきUltraSling Ⅳ AB(DJO Global社,Lewisville)]を用いた肩外転位固定を行ってきたが,装具固定下肩外転角度についてX線検査による二次元計測を行ったところ,見た目には肩が外転保持されているにもかかわらず,肩甲上腕関節が期待していたほど外転できていない症例があることに気づいた.
そもそも肩外転とは,肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節外転の総和であるが,縫合した棘上筋腱の緊張緩和のためには肩甲上腕関節外転がより重要である.そこでわれわれは,サンゴクブレース社(宇部)と共同で肩甲上腕関節の外転保持効果を高めるための装具を開発した(特許:6978012)[図1].
本研究の目的は,肩腱板修復術患者においてわれわれの開発した肩外転装具の肩甲上腕関節外転保持能力をX線透視下で検討することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2022