Japanese
English
上肢疾患の診断と治療の進歩(新鮮外傷を除く) Ⅱ.疾患各論
6.神経障害・末梢神経疾患
6)Guyon管症候群(尺骨神経管症候群)
Guyon管症候群の新しいMRI診断
Brand-new finding on magnetic resonance imaging that indicates presence of Guyon canal syndrome
金谷 耕平
1
K. Kanaya
1
1JR札幌病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., JR Sapporo Hospital, Sapporo
キーワード:
Guyon canal syndrome
,
MRI
,
diagnosis
,
sign
Keyword:
Guyon canal syndrome
,
MRI
,
diagnosis
,
sign
pp.168-171
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei82_168
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は じ め に
Guyon管症候群とは手関節レベルでの尺骨神経の絞扼性神経障害である.診断は,現病歴の聴取に加えて感覚・運動障害,筋萎縮,筋力低下,Tinel徴候といった理学所見,補助診断として電気生理学的検査などによりなされる.しかし,肘部管症候群に比較して頻度はまれであり,障害部位により症状が多彩であることから,診断に苦慮する場合がある1).
Guyon管症候群においてMRIは,ガングリオンや異所筋(aberrant muscle),腫瘍のような占拠性病変が原因の場合に診断に有用である2,3).しかし,占拠性病変がない場合には,MRIの診断的価値は低いとされてきた4).
筆者らはMRIで,Guyon管症候群における特徴的な尺骨動脈の異常を確認し,“clam siphon sign” と名づけ報告した5).本稿では,clam siphon signの画像所見と特徴,その頻度などを明らかにし,clam siphon signの発症機序と診断における注意点などを述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2022