Japanese
English
骨・関節感染症の治療戦略 Ⅲ.検査・診断
1.細菌培養検査,病理診断
エコーガイド下採取滑膜による人工膝関節全置換術例の細菌感染の診断
Diagnosis of bacterial infection in synovium obtained by ultrasound-guided sampling in total knee arthroplasties
中川 裕介
1
,
大関 信武
2
,
大川 淳
3
,
古賀 英之
4
,
関矢 一郎
2
Y. Nakagawa
1
,
N. Ozeki
2
,
A. Okawa
3
,
H. Koga
4
,
I. Sekiya
2
1東京医科歯科大学大学院運動器科学
2東京医科歯科大学大学院再生医療研究センター
3東京医科歯科大学大学院整形外科
4東京医科歯科大学大学院運動器外科学
1Dept. of Joint Surgery and Sports Medicine, Graduate School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
ultrasound
,
synovial biopsy
,
infection
,
TKA
Keyword:
ultrasound
,
synovial biopsy
,
infection
,
TKA
pp.68-74
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei81_68
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は じ め に
感染後の変形性膝関節症(OA)に対する人工膝関節全置換術(TKA)や,TKA後インプラント周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)では,術前の正確な感染活動性の評価が適切な治療方針の決定に重要である.一般的に感染の評価は,身体所見(発赤,熱感,腫脹,瘻孔形成),血液検査[C反応性蛋白(CRP),赤沈],関節液検査(細胞数,分画),関節液培養,画像(X線像,MRI,シンチグラフィ)で行われる.
さらに重要な評価法として,術中に滑膜を採取し,凍結標本で高倍率の1視野あたりの好中球数をカウントする迅速診断がある1).これはInternational Consensus Meeting(ICM)on orthopaedic infectionsが作成したPJIの診断基準のminor criteriaの一項目に入っているものである2).凍結切片を用いた評価についてはきわめて高い診断能があるという報告がある一方で,結果は病理医の主観的評価に依存しており,有用性は限定的とする意見もある3).
近年,われわれはエコーガイド下に外来で滑膜を採取する技術を開発し4),感染後のOA例,PJI疑い例,PJI後の二期的TKA再置換術例に対して,永久標本による病理組織診断を行っている.本稿では本法を紹介し,術中迅速病理診断の有用性と問題点について文献的に考察する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022