Japanese
English
特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅴ章.整形外科領域別の医療安全トピックス/症例レジストリに基づいた合併症
3.人工膝関節全置換術後の神経・血管損傷に対する治療と予防
Treatment and prevention of neurovascular injury after total knee arthroplasty
中川 裕介
1
,
吉原 有俊
2
,
古賀 英之
3
,
関矢 一郎
4
Y. Nakagawa
1
,
A. Yoshihara
2
,
H. Koga
3
,
I. Sekiya
4
1東京医科歯科大学大学院軟骨再生学
2東京医科歯科大学整形外科
3東京医科歯科大学大学院運動器外科学
4東京医科歯科大学再生医療研究センター
1Dept. of Cartilage Regeneration, Graduate School of Medical and Dental Science, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
TKA
,
common peroneal nerve palsy
,
peroneal nerve pre-release
,
popliteal artery occlusion
Keyword:
TKA
,
common peroneal nerve palsy
,
peroneal nerve pre-release
,
popliteal artery occlusion
pp.661-668
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_661
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は じ め に
人工膝関節全置換術(TKA)後の合併症として,神経麻痺や血管損傷は感染や深部静脈血栓症・肺梗塞などと比較して頻度はまれであるが,発生した場合はリハビリテーションの遅延や慢性の疼痛・しびれ,下垂足,歩行障害など重篤な後遺障害を引き起こしうる.また血管損傷では下肢切断という不幸な転機をたどりうる.TKAのさまざまな合併症の中でも医療安全という視点からは,予防,発生した際の迅速な診断・治療介入が必要という点でもっとも重要な合併症と考えられる.本稿では外反膝に合併することが多い総腓骨神経麻痺と,血管損傷の中で重篤となる膝窩動脈損傷を対象とする.自験例を紹介し,文献レビューによる診断・治療を概説し,当科で行っている予防法について述べる.
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