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は じ め に
われわれは,これまで整形外科領域におけるnext generation sequencing(NGS)による細菌感染症診断の臨床研究を行っており1~3),現在はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を中心に全自動NGSを用いてゲノム解析センターとして活動の幅を広げ,遺伝子解析の専門的知識と技術をもつ臨床検査技師が救急医療のみならず入院治療や手術を受ける患者が安心して医療を受けられるよう全診療科を支えている.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,時に重症かつパンデミックをもたらす突然変異により人類の脅威となる4).今後,日常的に変異株検査を行う必要性があり,新たな変異株をすみやかに検出できる体制を準備しておかなければならない.診療の最前線において,迅速に世界中のウイルスゲノムデータと照合させ,ウイルスがどのような性質のものかを把握し,治療するためには,全ゲノムを瞬時に解析する必要がある.現在共有されている地球規模のデータベースは,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の診断や治療法の有効性に影響を及ぼす可能性のある変異検出を可能にしている.われわれは,NGSを用いた整形外科における臨床研究をもとに,昨年4月より全自動機器によるRNA抽出後,quantitative定量的逆転写PCR(RT-qPCR)を用いてウイルス量を測定し,全自動NGSによるCOVID-19の解析を行っている.そして,ゲノム解析による感染経路の特定手法を構築し,COVID-19におけるパンデミックに対峙してきた.本稿では,これまでわれわれが行ってきたRT-qPCRと全自動NGSを組み合わせたSARS-CoV-2迅速同定および解析成果について,ウイルス型別遺伝子量と疫学的特徴,当センターで経験した整形外科病棟院内発症時におけるSARS-CoV-2の感染経路特定法に関して報告する.
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