Japanese
English
論述
骨巨細胞腫組織中の宿主由来細胞について
Cell-surface marker bearing cells in giant-cell tumor of bone.
笠原 勝幸
1
,
山室 隆夫
2
,
濱島 義博
3
Katsuyuki KASAHARA
1
1天理よろづ相談所病院整形外科
2京都大学医学部整形外科学教室
3京都大学医学部第2病理学教室
1Dept. of orthop. surg., Tenri hospital
キーワード:
骨巨細胞腫
,
giant cell tumor of bone
,
マクロファージ
,
macrophage
,
細胞表面マーカー
,
cell-surface marker
,
細胞化学染色
,
cytochemical staining
Keyword:
骨巨細胞腫
,
giant cell tumor of bone
,
マクロファージ
,
macrophage
,
細胞表面マーカー
,
cell-surface marker
,
細胞化学染色
,
cytochemical staining
pp.1016-1023
発行日 1980年11月25日
Published Date 1980/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906229
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まえがき
言い古されて来た言葉であるが,骨巨細胞腫ほど多くの論争を惹き起こし続けてきた疾患は少ない.とりわけ,骨巨細胞腫組織中の巨細胞の起源については,それが破骨細胞の腫瘍化したものだとする英国学派と,腫瘍細胞と直接の関係を持たない非特異的な巨細胞だとする米国学派に分かれて論争を続けてきた1).一方,十数年前までは,「腫瘍組織を構成するのは同一の起源を持つ腫瘍細胞であって,起源の異なる二種類の細胞が腫瘍組織を構成するのは非常に不自然である.」と考えるのが常識であり,これが英国学派の考え方の一つの基盤でもあつた.
しかし,最近の免疫学の進歩は,腫瘍に対する宿主反応の詳細を明らかにし,腫瘍細胞は自己増殖を続ける一方で,血行由来のリンパ球やマクロファージの攻撃を受け,破壊され続けていることがわかった.つまり,腫瘍組織は分裂,増殖する腫瘍細胞と,血液中から侵入してきた宿主細胞とが,動的にバランスを保って構成していると考えられるようになつてきた.
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