Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その1) Ⅱ.診 断
1.画像診断
デスモイド型線維腫症における新たな予後予測
-――T1強調画像におけるblack fiber signの有用性
Prediction of growth behavior of aggressive desmoid fibromatosis:usefulness of black fiber sign in T1-weighted image
村橋 靖崇
1
,
江森 誠人
1
,
田中 太晶
2
,
中 紀文
3
,
土江 博幸
4
,
島田 洋一
4
,
山下 敏彦
1
Y. Murahashi
1
,
M. Emori
1
,
T. Tanaka
2
,
N. Naka
3
,
H. Tsuchie
4
,
Y. Shimada
4
,
T. Yamashita
1
1札幌医科大学整形外科
2福井大学整形外科
3那智勝浦町立温泉病院整形外科
4秋田大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., School of Medicine, Sapporo Medical University, Sapporo
キーワード:
desmoid fibromatosis
,
wait and see
,
prognosis
,
MRI
Keyword:
desmoid fibromatosis
,
wait and see
,
prognosis
,
MRI
pp.39-43
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei79_39
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は じ め に
デスモイド型線維腫症は局所浸潤性が高い良悪性の中間型腫瘍とされている.従来は広範切除術が治療の中心とされてきたが,外科的切除の再発率が高く(42~86%),自然経過で増大が停止する症例や縮小する症例があることから,初期対応として経過観察(wait and see)を選択することが一般的になりつつある1).
Briandらは自然経過で平均1年で増大しなくなる傾向があり,wait and see脱落例は約10%であったと報告している2).一方で疼痛や関節拘縮など伴う症例においてどこまでwait and seeをすすめるべきか判断に苦慮することも少なくない.また,積極的な経過観察によって腫瘍増大に伴う機能障害やその後の治療侵襲が大きくなる可能性もあるため,wait and seeにおいては予後予測が重要であると考えられる.しかし,病理組織診断,画像診断において増大する症例を鑑別する方法はいまだ確立されていない.
われわれはMRIにおける新たな予後予測因子として腫瘍内のlow signal band(black fiber sign:BFS)に着目し,予測因子としての有用性を後ろ向きに検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021