Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その1) Ⅱ.診 断
1.画像診断
整形外科医が知っておくべき有痛性軟部腫瘍
Painful soft tissue tumors that orthopedists should know
北川 泰之
1
,
角田 隆
2
,
眞島 任史
1
Y. Kitagawa
1
,
R. Tsunoda
2
,
T. Majima
1
1日本医科大学整形外科
2金町中央病院
1Dept. of Orthop. Surg., Nippon Medical School, Tokyo
キーワード:
painful soft tissue tumor
,
angioleiomyoma
,
angiolipoma
,
glomus tumor
,
MRI
Keyword:
painful soft tissue tumor
,
angioleiomyoma
,
angiolipoma
,
glomus tumor
,
MRI
pp.34-38
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei79_34
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は じ め に
整形外科外来には,さまざまな痛みを理由に患者が受診する.痛みの原因の一つに腫瘤性病変がある.多くは足底の粉瘤や末梢神経近傍に生じたガングリオンなど周囲組織との関係が痛みの発生に関与している場合が多いが,中には腫瘤性病変そのものが痛みの原因となっている場合がある.いわゆる有痛性軟部腫瘍は発生部位に関係なく痛みを生じることがある.しかし,下肢の皮下に好発する小腫瘤である血管平滑筋腫や上腕皮下に触れる小さな脂肪腫のような腫瘤(血管脂肪腫)が疼痛の原因になりうることはあまり知られていない.また,尺骨神経など太い神経幹に発生する神経鞘腫や爪下腫瘍としてのグロムス腫瘍はよく知られているが,太い神経幹とは無関係な神経鞘腫や爪下以外に発生するグロムス腫瘍の存在はあまり知られていない.そのため,痛みの原因をほかに求めて過剰な検査を行ったり,患者が痛みを主張することに対して懐疑的になり腫瘍が治療されずに放置されたりすることもある.これらの腫瘍の治療は単純な摘出で十分なので,整形外科医が有痛性軟部腫瘍について知ることが重要である.
本稿では,有痛性軟部腫瘍のうち,特にその小ささに不釣り合いな痛みを伴うことが多い血管平滑筋腫,血管脂肪腫,グロムス腫瘍の診断について述べる.
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