Japanese
English
骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療 Ⅴ.上肢骨折の病態と治療
上腕骨近位端骨折における人工骨頭置換術の結節癒合不良因子
Factors affecting poor tuberosity healing in hemiarthroplasty for proximal humeral fractures
内山 善康
1
,
今井 洸
1
,
鷹取 直希
1
,
渡辺 雅彦
1
Y. Uchiyama
1
,
T. Imai
1
,
N. Takatori
1
,
M. Watanabe
1
1東海大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokai University School of Medicine, Isehara
キーワード:
proximal humeral fracture
,
poor tuberosity healing
,
hemiarthroplasty
,
cable cerclage
Keyword:
proximal humeral fracture
,
poor tuberosity healing
,
hemiarthroplasty
,
cable cerclage
pp.157-160
発行日 2020年10月31日
Published Date 2020/10/31
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei78_157
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は じ め に
上腕骨近位端骨折は全老人性骨折の約10%を占め,骨脆弱性により,しばしばその治療に難渋する.80歳以上では10万人あたり300件であり,女性の発生件数が男性に比べ閉経後の50歳より徐々に増加し,80歳以上では男性の2倍になると報告されている1).2010年度では年間4万人に発生していると報告され,昨今の高齢化社会において2030年には年間5万1千人に発生すると報告されている.中でも80歳以上の発生率は倍に膨れ上がると考えられ,今後は骨粗鬆症の高齢者上腕骨近位端骨折,特に治療に難渋する粉砕骨折が増加する可能性が高くなると考えられている.
一般的に上腕骨近位端粉砕骨折Neer分類4 part骨折や3 part解剖頚骨折で骨頭壊死が疑われる症例には人工骨頭置換術が選択される2~4).しかしながら結節の解剖学的な修復が得られない場合,腱板機能障害により術後機能は悪化し,十分に満足のいく結果は得られていない5,6).
そこでわれわれは,上腕骨近位端骨折に人工骨頭置換術を行った患者の結節骨癒合不良因子を後ろ向きに検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020