高齢者骨盤輪骨折の診断と治療 -――地域包括ケアシステムを適用した介入

Clinical study of pelvic ring fractures in elderly patients；the intervention at primary care clinic under comprehensive community care system

は じ め に

　高齢者骨盤輪骨折は，低速度，低エネルギー外傷により発症し，重度骨粗鬆症と運動器不安定症を伴う骨脆弱性骨折であり，早期診断と治療を必要とする高齢者骨折の一つと考えられる．高齢者の疾病や外傷に対して，医療と介護，そして介護予防を包括して介入する地域包括ケアシステムが2005年に考案され，本骨折の治療に関しても，そのシステムの導入により有用性が期待される．本稿では，当院で本骨折に対し，図1のように地域包括ケアシステムを適用して保存療法を行い，その治療成績から本骨折への介入について検討した．