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は じ め に
腰椎分離症は成長期に発症する疲労骨折と考えられており,一般人には5~10%程度,高いスポーツ活動を行うグループでは10~20%の頻度で発生する1).腰椎分離症では10歳代に腰痛のためにたびたびスポーツ活動などが障害される一方で,その成人期の腰痛頻度は一般と同程度と長期の経過は決してわるくないことも報告されている2).疲労骨折の骨癒合のためには,スポーツ活動性の高い成長期にスポーツ活動を停止させるため,心身発育への影響も懸念される.できる限り早期での診断と,適切な判断により,スポーツ活動停止期間を短縮させることが治療上の重要な課題でもある.
腰椎分離症の早期診断には発症部位である関節突起間部周囲の骨ストレス反応をMRIで検知することが有用である(図1)3,4).一方,関節突起間部の骨ストレス反応による疲労骨折を診断し,病期を分類して治療方針を決定し,骨癒合を判断するにはCTがゴールドスタンダードとされている5).しかし,CTは放射線曝露を受けるため,特に放射線感受性の高い成長期では最小限のCTで適切な診断と骨癒合の評価をすることが肝要である.従来腰椎分離症の病期分類ではCT横断像の形態から初期,進行期,終末期と分類されてきた.CT横断像は,椎間関節突起間部に沿って,骨折線に直交するように連続スライスするため,骨折線が腹側皮質骨のみの発症初期では診断が困難である6).また,CT横断像病期による骨癒合率は初期62~94%,進行期0~64%,終末期0%の骨癒合と報告されており,骨折線の形態によって判断するため,進行期の判断については検者により分類の違いが大きいと考えられる.Sairyoらは進行期をMRI T2画像の高輝度変化の有無でさらに2群に分けて高輝度あり60~64%,高輝度なし0~27%としており7,8),MRIを組み合わせて骨癒合治療方針を決定することが必要としている.一方,現在の整形外科臨床において,一般の骨折の評価では容易に再構築されるようになったmulti-planar reconstruction(MPR)CT(冠状断像,矢状断像)や3 D画像が用いられるようになっている.腰椎分離症においても腹側骨皮質から背側皮質に向かって骨折線が進行するため,進行方向に平行スライスしたCT矢状断像は骨折線の進行程度を判断しやすく,骨折線の進行程度により骨折部の力学的な安定性を推察して,スポーツ活動復帰へのトレーニング内容,トレーニング強度を決定することにも有用と考えられる.
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