腰椎疾患up-to-date
特殊病態 "牽引性脊髄損傷"の概念の提唱
糸井 陽
1
,
最上 敦彦
,
遠田 慎吾
,
安田 東
,
大林 治
1順天堂大学医学部附属静岡病院 整形外科
キーワード:
MRI
,
脊髄損傷
,
対麻痺
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Paraplegia
,
Spinal Cord Injuries
pp.260-263
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2013222878
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牽引性脊髄損傷を2例経験した。症例1は19歳男で、バイク事故で両下肢Frankel分類Bの対麻痺を生じ、全脊椎MRIでは胸髄にショートカットサインを認めたが、対麻痺を生じる病変を認めなかったため保存的治療を行った。麻痺は徐々に改善し、受傷後1年で右下肢に軽度の神経障害を残すのみとなった。しかし、その後も腰痛と右下肢痛を繰り返し、脊髄終糸症候群が疑われたが対症療法のみで対処した。症例2は37歳男で、バイク事故で両下肢にFrankel分類Cの対麻痺および膀胱直腸障害で搬送された。全脊椎MRIでは胸髄のショートカットサイン以外、異常はなかった。受傷後3日より左上肢のしびれを生じ、以後頭痛、頸部痛、全身放散痛などを認めた。慢性柊痛の鎮痛薬として向精神薬投与、星状神経節ブロックなどの治療が行われたが、効果はほとんど認めなかった。
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