発行日 2010年9月20日
Published Date 2010/9/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2011003988
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本研究の目的は、がん患者が主体となって話せる会話を通し、看護師が患者理解を深めるためのコミュニケーションシートを作成し、シートを用いた会話が有効であるかを明らかにすることである。A病院外科病棟に入院してきたがん患者とその受け持ち看護師を対象に、シートを用いた会話群(シート群)と通常の会話群(対照群)でコミュニケーションの有効性を比較した。調査方法は、入院から1ヵ月間に10日に1回の割合で10分程度の対話を行ってもらい、終了後にその看護師と患者に作成した質問紙を渡し、無記名自記式で任意のアンケート調査を行った。分析対象はシート群15名、対照群20名であり、患者が看護師との会話によって「気持ちの共有ができ、身近に感じた」と答えた人はシート群に高い傾向があり(84.6%)、「気持ちが楽になった」と答えた人は対照群で有意に高かった(70.6%)。看護師は「患者の思いが聴けたか」で2群に差はなかったが、経験年数別では「1~5年目」のシート群の方が思いを聴ける傾向にあった。また、シートを使用しての会話内容は、ほとんどが1回目の会話で語られており、シートの活用は入院して治療を開始するまでの初期段階での使用が有効であると示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010