発行日 2015年11月20日
Published Date 2015/11/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2016103127
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父親の終末期肺がんを、自閉症をもつ幼児に伝えてほしいと母親から依頼を受けたケースを振り返り、子どもの個性に合わせた介入方法と、母親の役割強化につながった介入を検討する。対象A君5歳は自閉症(総合IQ80:言語50、行動110)のため、子どもセンターで定期的にカウンセリングを受けている。父は4年前に右中葉肺がん手術後、再発、脳転移、肺内転移、脊髄多発転移あり。A君が父親の病気を理解し、母親がA君との親子関係に自信をもつことができることを目的に、臨床心理士と面談を実施した。結果、A君は「心配していたんだ僕。これがわるいやつだったんだ」と興味を示し、父親の変化を「前に会ったときと違って声がかすれて聞こえなかった」と表現できた。表情カードを用いた面談で、感情を表現し看取りの場面では「父ちゃんは星になった」と理解した。母親はA君とのかかわり方に自信をもち、父親の臨終に躊躇せず立ち会わせることができたと語った。他職種協働の面談および、子どもセンターの継続的支援は、自閉症の特性を理解し、個性に合わせた親のがんの伝え方に役立ち、さらに、A君へのかかわりに不安がある母親の心的危機状態の緩和につながったと考える。
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