発行日 2003年9月20日
Published Date 2003/9/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2004047588
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当移植病室にて移植を行い,塩酸モルヒネを使用した16歳以上52歳未満の患者で,精神疾患,薬物乱用,心疾患,肝疾患,腎疾患の既往がなく,合併症の重篤化をきたさなかった事例16名を対象に,移植後早期における口腔粘膜障害に対する自己調整する鎮痛法(PCA)を用いた疼痛管理の効果と,患者の自己コントロール感への影響について検討した.PCA群と対照群の振り分けは移植実施の順番により交互に割り付けた.その結果,PCA群9名のほうが対照群7名に比べ,VAS値の低下する時期が早く,早期の疼痛軽減がはかられた.身体症状では,PCA群のほうが苦痛が少ないという結果を得たが,差が認められたのは,口内乾燥感と活動性であった.活動性については,対照群では痛みが十分に軽減せずに経過し,その結果として倦怠感・眩暈・疲労感が増強した可能性が考えられた.そして,本調査で焦点をあてた患者の自己コントロール感は,PCAの使用により,疼痛だけでなく,生活や精神状態のコントロール感に関してもよい結果が得られた
©Nankodo Co., Ltd., 2003