肝臓を診る-肝臓病のキモ 肝疾患各論
薬物性肝障害 いつ何どきでも鑑別にあげ,その後はどうする?
田中 篤
1
1帝京大学 医学部内科学講座
キーワード:
薬物性肝障害
,
鑑別診断
,
薬物用量反応関係
,
薬剤リンパ球刺激試験
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Dose-Response Relationship, Drug
,
Chemical and Drug Induced Liver Injury
pp.1145-1149
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017264375
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薬物性肝障害(DILI)は肝細胞障害型,胆汁うっ滞型,混合型に分類される.原因としては抗菌薬,解熱鎮痛抗炎症薬,精神神経領域薬が多いが,漢方薬や健康食品・自然食品によるものも少なくない.診断のためには,肝障害をきたしうるほかの原因を丁寧に除外すること,原因となりうる薬物およびその服用時期を詳細に聴取することが重要である.薬物リンパ球刺激試験(DLST)の結果は参考となるが,確実なものではない.確定診断を目的とした被疑薬の再投与は禁忌である.治療方針としては被疑薬の投与を中止することが大原則で,多くは薬物の中止だけで軽快するが,なかには重症化する症例もみられる.患者には今後被疑薬の服用は避けるよう説明する.
©Nankodo Co., Ltd., 2017