肝臓を診る-肝臓病のキモ 肝疾患各論
肝膿瘍 細菌およびアメーバの感染症
松田 秀岳
1
,
中本 安成
1福井大学 学術研究院医学系部門内科学(2)分野
キーワード:
ドレナージ
,
Metronidazole
,
肝膿瘍-アメーバ性
,
危険因子
,
抗細菌剤
,
鑑別診断
,
肝膿瘍-化膿性
,
Tazobactam-Piperacillin
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Diagnosis, Differential
,
Drainage
,
Liver Abscess, Amebic
,
Metronidazole
,
Risk Factors
,
Liver Abscess, Pyogenic
,
Piperacillin, Tazobactam Drug Combination
pp.1151-1153
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017264376
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肝膿瘍は化膿性とアメーバ性に大別され,本邦では前者が多い.重篤な転機をたどることがあり,迅速な診断と治療の導入が必要である.非特異的な発熱,腹部症状などを呈する患者では肝膿瘍の可能性も考慮する.化膿性肝膿瘍の起因菌として,Klebsiella pneumoniaeやEscherichia coliなどが多い.嫌気性菌感染も念頭に置き,治療初期には広域スペクトラムの抗菌薬を投与する.アメーバ性肝膿瘍の診断には血清赤痢アメーバ抗体が有用だが,近年は赤痢アメーバの感染経路が多様化しており,診断に際して詳細な病歴の聴取が重要である.metronidazole内服で速やかに改善する.経皮的ドレナージは,化膿性肝膿瘍に対する治療効果が高い.アメーバ性肝膿瘍において経皮的ドレナージは一般的ではなく,適応の有無を十分に検討する.
©Nankodo Co., Ltd., 2017