発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012041788
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65歳男。約4年前に直腸癌にて手術を施行されるも、その前後で肝機能障害は認めていない。今回、感冒症状で市販薬(パブロン)を服用したところ、全身倦怠感が強くなり肝機能障害を認めたため紹介入院となった。EBウイルス、サイトメガロウイルスは既往感染で、高度の黄疸と凝固系検査値の悪化、低蛋白血症を認め、DDW-J2004ワークショップ薬物性肝障害診断基準案6点、ALT、ALP値およびPT 40%以下で重症型肝障害と診断された。腹水が出現したが肝性脳症は認めず、劇症化を考え新鮮凍血漿(FFP)投与等で凝固系検査は改善した。腹水穿刺、利尿薬、アルブミン注射等で腹水も消失し、徐々に肝機能障害は軽減した。強力ネオミノファーゲンC、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の投与を継続し、肝胆道系酵素値は多峰性の推移を示したが、顕性黄疸が消失した時点で退院となった。服用薬の薬剤リンパ球刺激試験(DLST)は陽性で、肝細胞障害が長期に継続し肝胆道系酵素値の正常化にT-Bil・ALP値は1ヵ月ALT値に16ヵ月を要したことは稀である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011