糖尿病治療の個別化-個々の症例にベストな治療とは
糖尿病発症,心血管イベント予測はどこまで可能か
大杉 満
1
1国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター糖尿病情報センター
キーワード:
Glycosylated Hemoglobin A
,
血糖
,
心臓血管疾患
,
糖尿病
,
糖尿病性血管障害
,
糖負荷試験
,
耐糖能障害
,
リスク評価
Keyword:
Cardiovascular Diseases
,
Blood Glucose
,
Diabetes Mellitus
,
Diabetic Angiopathies
,
Glucose Tolerance Test
,
Glycated Hemoglobin A
,
Glucose Intolerance
,
Risk Assessment
pp.17-23
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017114786
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糖尿病を合併しやすい疾患や,薬剤を服用している症例では,定期的に空腹時血糖値やHbA1c測定などを考慮する.高血圧,脂質異常症,喫煙,男性,中年以降など,動脈硬化性疾患の危険因子を有する場合,もしくは動脈硬化性疾患の既往がある際は,将来の心血管イベントの発症を予測したり,その発症を予防するためにも糖尿病のスクリーニングが必要である.年齢,男性,BMI,腹囲,喫煙,高血圧,糖尿病の家族歴によって,糖尿病の発症リスクの推定が可能であり,空腹時血糖値や,HbA1cを組み合わせるとさらに精度の高い予測が可能であり,発症リスクの高い症例を同定することが可能である.経口糖負荷試験は,対象症例を選んで行うのが望ましく,手順を遵守すべき試験である.日本人の臨床試験結果に基づいた,心血管イベントのリスク評価を行うリスクエンジンが存在する.肥満解消,禁煙,活動量増加の生活習慣改善を勧めることも重要である.
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