実践!頭痛診療-頭痛に悩む患者をどう診てどう治す?
片頭痛は脳梗塞の危険因子か
根来 清
1
1ねごろ神経内科クリニック
キーワード:
危険因子
,
性因子
,
脳梗塞
,
片頭痛
,
共存疾患
,
年齢因子
,
白質脳症
Keyword:
Age Factors
,
Migraine Disorders
,
Risk Factors
,
Sex Factors
,
Comorbidity
,
Brain Infarction
,
Leukoencephalopathies
pp.809-812
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015211935
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近年,片頭痛が脳梗塞の危険因子であるか否かに注目が集まっている.多くの疫学研究からわかってきたことは,前兆のない片頭痛で脳梗塞のリスクは高くなく,前兆のある片頭痛・45歳未満(とくに女性)・喫煙・ピル服用で高くなるということである.ただし,問題点として片頭痛が若年者で頻度が高く,かつ若年脳梗塞発症の絶対数そのものが少ないため,片頭痛患者の脳梗塞発症数がわずかであってもそのリスクが見かけ上大きくなる点,さらにはこれまでの疫学研究の母集団のバイアス調整の不備,片頭痛・脳梗塞の診断が不確かな点などが指摘されている.現時点では,「前兆のない片頭痛は脳梗塞のリスクにはならない,前兆のある片頭痛は脳梗塞のリスクが約2倍程度になる」とする報告が多いが,一般的な脳梗塞の危険因子である高血圧,糖尿病,脂質代謝異常,心疾患などに比べて影響の少ない因子と考える.
©Nankodo Co., Ltd., 2015