発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013260575
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35歳女。29歳時、妊娠を契機に甲状腺機能亢進症をきたし、出産後Basedow病の診断でMMI、propranololを開始し経過は良好であった。35歳時、FT4が上昇したためMMIを30mgまで漸増されたが、MMIの副作用と考えられる無顆粒球症を発症して緊急入院となった。甲状腺全摘術後にlevothyroxine(L-T4)補充療法を開始し漸増したが、甲状腺機能低下が続き、QT延長を伴う心拍数40/min前後の徐脈を指摘された。心拍数40/min以下の徐脈と夜間10秒以上の洞停止を合併し、心電図では低電位はなくQT延長で陰性T波を認めた。家族歴から遺伝的要因が強く、先天性QT延長症候群の可能性が考えられた。徐脈後動悸の自覚および心臓Naチャンネル機能異常を伴う先天性QT延長症候群のLQT3に特徴的なT波の始まりが遅いQT延長所見を認め、LQT3の合併が最も疑われた。抗徐拍ペーシング機能のあるICD植え込み術後を施行した。症状は改善し、甲状腺機能はL-T4継続内服で正常化したが、心電図変化は残存していた。最終的に心臓Naチャネル遺伝子であるSCN5A異常も確認され、先天性QT延長症候群と確定診断した。
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